ミセスユニバースのはじまりとは?

今のビューティーコンテスト(ミスコン)は、1888年にベルギーで開かれた大会が始まりと言われています。1952年には有名な「ミス・ユニバース」が誕生し、見た目の美しさを競う世界的な舞台として広まりました。しかし最近では、「見た目だけで評価するのは良くない」「女性の自立や平等を大切にすべき」という考え方が主流になり、コンテストのあり方そのものが大きな見直しを迫られています。
こうした中で、見た目の美しさだけでなく、家庭や社会でがんばる大人の女性にスポットを当てた新しい世界大会として生まれたのが「ミセス・ユニバース」です。2007年にブルガリアで設立されました。この大会には、結婚している女性や子育て中の女性たちが世界中から集まり、約1週間から10日間のあいだ、社会の役に立つ活動や話し合いを行います。
主催者が目指しているのは、妻や母親としての責任を果たしながら、自分の仕事も大切にし、社会のためにボランティア活動なども行う「本当にすてきな女性」を応援することです。
日本では「ベリッシマジャパン」という会社が、この「ミセス・ユニバース・ジャパン」を主催しています。この会社は2016年にできてから、日本で一番多くのコンテストに関わっており、これまでに100人以上の日本代表を世界大会へ送り出してきました。毎年20〜25人ほどが世界大会への切符を手にしており、さまざまな経験や仕事を持った日本の女性たちが、世界を舞台に自分の可能性を広げて活躍しています。
主催者:大島一恵さんのストーリー

日本での大会を引っ張る「ベリッシマジャパン」の社長で、審査の責任者も務めているのが大島一恵(おおしま かずえ)さんです。大島さんがどのように育ち、どんな仕事をして、なぜこのコンテストを開くようになったのか。その歩みを知ることは、この大会が単なる美しさのコンテストではなく、女性の成長や心の支えをいかに大切にしているかを理解する上で、とても重要なポイントになっています。
大島さんは1984年、東京の厳格な経営者の家庭に生まれました。お母さんは22歳で結婚し、仕事の経験がないまま、忙しい本家の主婦として自分を後回しにして家事や育児に尽くしていました。その姿を見て育った大島さんは、子供のころに「女性は結婚すると、自分のやりたいことを諦めなければいけないんだ」と、強い不安や怖さを感じていました。
小学校4年生からはじまった大変な受験勉強に馴染めず、大好きだったバレエや絵画もやめざるを得なくなるなど、自分の気持ちを我慢する日々が続き、当時は自分の価値を認められずに悩んでいました。
大学を卒業してわずか3日後、大島さんは1人で香港へ渡り、広告モデルの仕事をスタートさせました。これが人生の大きな転機となります。
アジア各国でモデルとして活動する中で、現地の女性たちが結婚や出産をしてもベビーシッターなどを上手に使い、自分の仕事や夢を追いかけて自立している姿を目の当たりにします。これにより「女性は結婚したら自分を犠牲にすべき」というそれまでの思い込みが、ガラリと覆されました。
見た目を競うモデルの世界に身を置きながらも、心の内面の成長に深く興味を持った大島さんは、20代後半でイギリスへ留学。2013年には大学院で「社会心理学」の修士号を取り、人がどのように自分を理解し、心を開花させていくのかという仕組みを、学問として本格的に学びました。
日本に帰ってきたあとは、人材紹介の会社やIT企業でPR(広報)の仕事を経験し、メディアとやり取りしたり企画を立てたりするスキルを身につけました。2015年には、韓国で開かれた国際コンテストで日本人初のグランプリを獲得。この経験から、コンテストには「人の人生をガラリと変え、自信を持たせる大きな力」があると確信しました。この実体験と大学院で学んだ心の仕組みを組み合わせて、女性たちが年齢や結婚にとらわれず、自分を認めてもう一度チャレンジできる場所を作りたいと考え、2016年に「ベリッシマジャパン」を立ち上げました。
ミセスユニバースジャパンの理念とは?
ミセス・ユニバース・ジャパンが一番大切にしているのは、「見た目の美しさだけで競わない、新しい基準」です。ただ顔立ちやスタイルの良さを比べるのではなく、「その女性がこれまでどう生きてきて、周りの人や社会にどんな素晴らしい影響を与えられるか」を何よりも大切に審査しています。
この理念を形にするため、大会では「ライバルと競うのではなく、みんなで一緒に作り上げる」ことを大切にしています。ファイナリストたちは、お互いを敵視するのではなく、仕事や育児、挫折といったこれまでの人生経験を分かち合います。そして、ゴミ拾いや子ども食堂、保護ペットの支援といったボランティア活動を自分たちで計画し、共に行うことで、仲間として一緒に成長していきます。
さらに、この大会は「誰もが参加できること」をとても大切にしており、年齢、身長、結婚しているかどうかによる制限がいっさいありません。戸籍の性別が女性であれば誰でも挑戦できるため、これまでの「こうあるべき」という女性像や体型の決まりごとにとらわれません。いろいろな個性や生き方を認め合う、時代の先を行く仕組みになっています。
出場者に求められる資質と審査内容

大会で求められるのは、つらいことを乗り越える心の強さと、周りの人や社会の役に立ちたいという優しい気持ちです。世界大会が掲げる「キャリアでの自立」「妻や母親としての責任」「社会貢献への参加」という3つの条件に加え、日本大会では「ありのままの自分を認め、大切にできること」を何よりも重視しています。
実際の選考は、半年間かけて行われる「ビューティーキャンプ」というファイナリスト向けの研修を通じて、いろいろな角度から評価されます。例えば、2024年7月23日にリッツカールトン東京で開かれた日本大会では、次のような仕組みで審査が行われました。
審査カテゴリーと具体的な評価要素
| 審査項目 | 主な評価プロセス | 評価基準・着眼点 |
| 人生のプロセス審査 | 応募時のプロフィール、詳細な人生ストーリーシートの分析 | どのような挫折を克服してきたか、人生の背景、社会への明確な問題意識と貢献の意思 |
| スピーチ審査 | 最終選考ステージにおけるスピーチ(スピーチ・アワードの実施) | 表現力、自立心、知性、説得力、発信されるメッセージの社会的一貫性 |
| イブニングガウン(ドレス)審査 | ドレスを着用したウォーキングおよびステージング | 姿勢、所作、自信に満ちたオーラ、身体的表現力 |
| タレント審査 | タレント・アワードを通じた特技や自己表現の提示 | クリエイティビティ、自己プロデュース力、個性の発揮 |
2024年の日本大会では、大島一恵さんをはじめ、元アデランス代表取締役グループCEO、現在は美容会社の社長を務める津村佳宏さん、化粧品会社の社長である岩崎裕美子さん、そしてタレントのpecoさんなど、ビジネスや美容、芸能界で活躍する23名の専門家たちが審査員を務めました。審査は偏りが出ないよう、全員でさまざまな角度からしっかりと話し合って選ばれました。
参加費用とそれ以外の費用
コンテストへの出場を考えている女性にとって、全部でいくらお金がかかるのかを事前に知っておくことはとても大切です。ここでは、「ミセス・ユニバース・ジャパン」に出るための公式の参加費と、ドレス代などの隠れた出費(間接コスト)について、日本の他の主なミセスコンテストと比べながら分かりやすく解説します。
国内主要ミセスコンテスト公式費用一覧
| 大会名 | 一次・二次選考費用 | 本大会・ファイナリスト登録費用 | 必須となる追加購入品・セミナー費用 |
| ミセス・ユニバース・ジャパン | 一次:無料
二次(ワーク費用):16,500円(税込) 19 |
ファイナリストフィー:230,000円(税別)〜330,000円(税込) ※ビューティーキャンプ・宿泊費含む | ワーク費用33万円(分割可、パーソナルトレーニングや美容歯科提供など含むプランあり) |
| ミセス・オブ・ザ・イヤー | 一次・二次・面談:無料 | 地方大会:20,000円(税別)
日本大会:120,000円(税別) ※トレーニング、宿泊費込 |
公式Tシャツ:2,100円(税別、送料別)
公式シューズ:10,000円(税別、送料別) |
| ミセス・アース・ジャパン | 一次:無料
二次:20,000円 |
ファイナリスト認定料・キャンプ・選考費は二次通過後に個別案内 | 個別レッスン代、ドレス衣装代(世界大会では約5〜10着必要で約30万円規模) |
| ミセスジャパン | オーディション:10,000円 24
※別制度:地方大会16,500円 |
グランドファイナル:20,000円
※別制度:日本大会180,000円 |
各種セミナー・トレーニング代 |
| ミセスなでしこ | 書類選考等 | ファイナリスト登録料:50,000円(名刺・サッシュ贈呈、キャンプ無料) | 宿泊費、着物代、着付け・ヘアメイク費用は完全自己負担 |
準備に伴ういろいろなコスト(2020年ファイナリスト中山礼奈さんの例)
ファイナリストとして日本大会のステージで十分なパフォーマンスを発揮するためには、上記の主催者への支払費用のほかに、個別レッスンや美容、衣装の購入費用が発生しま
- パーソナルトレーニングおよび個別レッスン費用(約2ヶ月間通ったケース)
- スピーチレッスン(日本語・英語):15,000円 / 回 × 2回 = 30,000円
- ウォーキングレッスン:11,000円 / 月(月4回) × 2ヶ月 = 22,000円
- パーソナルジム:3,250円 / 回 × 週2回程度
衣装およびアクセサリーの調達 - 日本大会用カクテルドレス:58,000円(フルお直し代込み、京都祇園のインポートセレクトショップ「Galle」にて調達)
- ステージ用アクセサリー:5,500円
美容・その他 - ネイル:4,500円
- メイクアップ製品(リップ、つけまつげ等):約2,000円
こうした合計費用は、数十万円から、遠征のための交通費やホテル代を合わせると100万円ほどになることもあります。
これだけのお金を使うことについて、出場した人たちからは「子供の塾代などの教育費と比べて悩んだけれど、コンテストで自分が大きく成長でき、すごい人たちと知り合えて、その後の仕事にもプラスになった。そう考えると、とても価値のある、むしろ安いお買い物だった」という声が上がっています。
また、周りの人に応援してもらったり、ネットで資金を募る「クラウドファンディング」を使ったりして、何万円〜何十万円もの旅費やドレス代を支援してもらう出場者もいます。大会に出るまでの準備そのものが、周りの人にファンになってもらい、協力してもらうための良い練習の場になっています。
他コンテストと比較しての強み・弱み
「ミセス・ユニバース・ジャパン」を、他の似たような大人のコンテストと比べたときの「強み」と「これからの課題」は、次のようになります。
1. 本大会の圧倒的な強み
- 国内最大規模の世界大会派遣能力:
主催のベリッシマジャパンは、日本で一番多く世界大会の権利を持っているため、毎年20〜25人もの日本代表を選んで世界へ送り出すことができます。このように、他の大会に比べて「世界大会へ行けるチャンス(合格枠)」がとても多いことが大きな強みです。
- 「人生のプロセス」への徹底した傾聴:
見た目だけで判断するのではなく、シングルマザーの方や、挫折を乗り越えた方、また60歳以上のシニア世代の方など、一人ひとりの人生の歩みを大切にしています。それぞれの経験を言葉にして周りに伝えることで評価される仕組みがしっかりと整っています。
- 卒業後のコミュニティ(Bellissima Salon):
大会が終わったあとも一度きりの関係で終わらせず、ネットや対面でのレッスンがずっと続きます。さらに、ネットで資金を集める方法や起業のやり方、本の出版、毎月100万円を売り上げるための計画作りなどをみんなで学ぶことができます。このように、大会は参加した女性たちが新しくビジネスを立ち上げ、育てていくための心強いサポートの場となっています。
2. 本大会の弱み
- 多大な自己負担コスト:
ファイナリストフィーに加え、衣装代やプライベートレッスン代を自主的に負担する必要があり、経済的に厳しい人にとっては参加が難しくなる - 評価基準の抽象性:
見た目やスタイルのような目に見える基準がないため、「内面の輝き」や「社会への役立ち度」をどう評価するかは、本人の受け止め方次第になりがちです。そのため、周りの人から見て「なぜその人が選ばれたのか」という客観的な理由が分かりにくい場合があります。
どのような女性にお勧めか?
「ミセス・ユニバース・ジャパン」の仕組みや研修は、次のような悩みや願いを持つ大人の女性にとって、人生をガラリと変える絶好のチャンスになります。

1. 家庭や会社の中でアイデンティティー見失った女性
育児や介護、家事、夫のサポートなど、家族のために自分の時間を使っていて、「私なんて…」と自分を後回しにしたり、申し訳なさを感じたりしている女性。研修で自分の心と向き合い、「自分の好きな色を自分で選ぶ」といった小さな決断を繰り返すことで、「自分の人生の主役は自分自身なんだ」という自信を取り戻すことができます。
2. 社会に影響を与えたいが、具体的な一歩を踏み出せない女性
1人ではできることが限られるボランティアやゴミ拾いも、同じ気持ちを持つ仲間が集まることで、社会を大きく動かす素晴らしい活動へと発展させることができます。
3. 世界を視野に自分を輝かせたい女性
将来、自分で起業したり、自分の名前で活動したり、メディアやSNSで活躍したいと思っている女性にとって、SNSの使い方の練習や世界大会への挑戦は、自分の信頼度と影響力を一気に高める強力なステップになります。
出場者の実績と大会後の活躍
大会に挑戦した女性たちは、この経験を通じて大きく成長し、仕事の成功、ボランティア活動、そして世界を舞台にした活躍など、さまざまな分野で素晴らしい成果を残しています。

1. 自己実現とキャリアの再定義(起業事例)
- 光安都美さん(2022年グランプリ):45歳で小学5年生の息子を育てるシングルマザーであり、仕事と育児を並行させながらMBA(経営学修士)を取得した会社役員。大会に向けたトレーニングの中で、「女性の社会進出を支援する武器を提供する」という起業の志を明確にし、2022年12月には日本代表として世界大会に出場。直面した子どもの預け先のトラブル等をも「あきらめない姿勢」へと昇華させ、同様の境遇にあるシングルマザーたちに多大な勇気を与えた。
- 中山礼奈さん(2020年ファイナリスト):多忙によるノーメイク生活から一転し、自身の美と人生の舵取りを自らの手に取り戻した元専業主婦。大会後は、自身が輝く喜びを周囲に伝えるため、関西地区のビューティーキャンプを統括する運営代表やミスコンプロデューサーとして活動の幅を飛躍的に広げている。
- 門脇令奈さん:元日本航空株式会社(JAL)勤務のキャリアを経て、ヴィーガン&グルテンフリー焼き菓子専門店「Ve庵」の代表へ転身。誰もが尊重し合える『食のバリアフリー』を目指した製品は、内閣府のグリーンスタンドでも採用される実績を残している。
2. 社会貢献
- 「Made in Japan」スキンケア製品プロデュース:2020年のミセス・ユニバース・ジャパン日本大会ファイナリストを含む10名の世界大会代表者が共同し、社会貢献を目的とした化粧品「M3 LOTION」をプロデュース。製品の売上の一部をパンデミックの拡大防止支援金として寄付するなど、ビジネスを介したサステナブルな社会還元の仕組みを構築した。
3. 国際的な受賞実績
ベリッシマジャパンが日本代表として選出し、派遣した女性たちは、グローバルな世界大会において非常に高い評価を得ている。以下は、世界大会(Legend Universal等)における日本代表者の主要な受賞データである。
国際大会(Legend Universal等)における主な受賞一覧
| 出場年度 / 大会名 | 出場区分 | 受賞者名 | 受賞タイトル・アワード |
| 2025 Legend Universal | MRS | 矢作 響 | Earth Champion(世界大会グランプリ) |
| 2025 Legend Universal | MISS | 宍戸 真澄 | International Champion(世界大会グランプリ) |
| 2025 Legend Universal | MRS | 清沢 華江 | 2nd Runner-up(世界大会3位) |
| 2024 Legend Universal | ELITE | 鴫原 美穂 | Earth Champion(世界大会グランプリ) |
| 2024 Legend Universal | CLASSIC | 河野 穂積 | International Champion(世界大会グランプリ) & Charity 特別賞 |
| 2024 Legend Universal | CLASSIC | 鈴木 典子 | Global Champion(世界大会グランプリ) |
| 2024 Legend Universal | CLASSIC | 石崎 美穂 | Best Evening Gown 特別賞 |
| 2024 Legend Universal | CLASSIC | 住吉 万由子) | 1st Runner-up(世界大会準グランプリ) |
| 2024 Legend Universal | MRS | 杉原 エリカ | Intercontinental Champion(世界大会グランプリ) & Most Charming 特別賞 |
| 2024 Legend Universal | MRS | 秩父 さくら | International Champion(世界大会グランプリ) |
| 2024 Legend Universal | MRS | 唐崎 秀美 | 2nd Runner-up(世界大会3位) & Best Traditional Dress 特別賞 |
| 2024 Legend Universal | MRS | 上田 美穂 | 2nd Runner-up(世界大会3位) |
これらの受賞結果は、日本で行われている研修の内容が世界でも十分に通用することを示しています。
研修では、心の持ち方や歩き方、スピーチ、自分を深く知ることなどを学びますが、これらは世界の基準や「社会にどう貢献しているか」という審査のポイントにもぴったり合っています。日本で学んだことを実践すれば、世界を舞台にしても高く評価されることが証明されています。
まとめ
「ミセス・ユニバース・ジャパン」は、ただ一晩だけ華やかにドレスを着てステージに立つお祭りではありません。今の時代を生きる女性たちが「自分らしく輝き、社会の役に立つ力」を身につけられるよう、最初から最後までしっかりとサポートしてくれる、大人のための素晴らしい学びの場です。
この大会は、美しさの基準を「見た目」から「周りの人の役に立つこと」へと新しく変えました。年齢や立場の制限をなくし、一人ひとりのこれまでの歩みを評価する仕組みは、いろいろな生き方を認め合う今の時代にとても合っています。
ドレス代や旅費などのお金の負担はありますが、挑戦する中での心の変化や、大会後のサロンを通じたお仕事での活躍を考えると、得られる価値は一生モノです。一歩を踏み出すだけの価値がある、人生を大きく変える場所だと言えます。